(続)ジャズは横ノリの音楽!

前回のブログ「ジャズは横ノリの音楽!」で、縦のりと横のりの違いその他、横ノリの概念、ジャズ演奏での横ノリの重要性について解説しました。今回は横ノリで演奏する上で最も重要なポイント、拍子ビート)について解説した後、具体的な練習法を「サックス・ジャズ演奏法」の過去記事からご紹介します。

横ノリ、各奏者が演奏しているテンポ感、ペースを揃えていくアンサンブルでは、各奏者が拍子(ビート)の流れを完全に把握していることが、アンサンブルを整えていくための条件となります。

西洋音楽のリズム=拍子

西洋音楽のリズムの根幹は拍子です。一般にリズムと言うと、拍の長さやら発音のタイミングをイメージする人が多いようですが、実際には拍子こそが、西洋音楽のリズムの土台なのです。実際、一部を除いたクラシック音楽の作品のリズムは、拍子を伴います。拍子というのは、3拍とか4拍とかを繰り返して楽曲が進行していく、一定の拍数のサイクルのことです。そして厳密に言えば違いはありますが、それに大きく関係するのがビートです。

西洋音楽の拍子は、もともと舞曲、踊りのリズムに由来します。踊りのステップ、例えば3拍周期で3拍目に伸び上がって、次の1拍目に体勢を落ち着けてとか、私、鈴木学自身、そこまで専門的に勉強したわけではないので正確な解説はできませんが、大雑把に言えばそういう事です。そして、踊りのステップに由来しているため、本来の拍子の各拍には長さ、強さの揺らぎが生じます。

例えば、こんな感じだったらしいです。

横ノリ=常に拍子(ビート)を感じる

前回のブログから今回にかけて、横ノリのアンサンブルを「各奏者が演奏しているテンポ感、ペースを揃えていくアンサンブル」と定義付けましたが、このテンポ感、ペースを揃えていく為に重要なのが、各奏者が拍子の流れにのっていること、つまり演奏中に今自分が拍子の中の何拍目のどの辺りを演奏しているか、皆が把握しつつ演奏していることです。例えば所謂8ビートのリズムであれば、「1と2と3と4と」のどこを演奏しているのか、しっかりと感じつつ演奏しているのが、拍子にのっているという事です。

拍子にしっかりとノリつつ演奏する習慣が身につけば、旋律中の各音を何拍伸ばすかなんて気にする必要はなくなります。大事なのは「何拍伸ばすか?」ではなく「小節の中のどこを演奏しているか?」なのです。

旋律中の各音の長さは、かなり不規則です。通常、長い音、短い音が様々に組み合わさって旋律が構成されます。その不規則な音の長さを正確に表現する事は非常に困難です(ちなみにリズムが苦手な人ほどこのようにリズムをとらえています)。それに対して、拍子にのるリズムのとり方の場合、各小節3拍、4拍といった一定のサイクルが繰り返されますから、それにノリつつ旋律の各音の長さを調整するのは実に容易です。

ジャズアンサンブルは横ノリで!

合奏中の各奏者が、各々自分の演奏している音、旋律にのみ集中していても、他の奏者との間で拍子の流れを共有できていれば、アンサンブルは整います。さすがに発音のタイミングが厳密に揃ったアンサンブルにはならないでしょうが、一般的な聴衆にとっては、十分に発音が整った合奏に聞こえるはずです。

ジャズは即興の音楽、各奏者がその瞬間の即興で音楽を創り上げます。特にサックスサクソフォン)のように、メロディーを吹いたり、即興演奏をする楽器は、自分の音をしっかり聞いて把握できていなければ演奏できません。「周りの音を聴いて合わせる」なんて縦ノリのアンサンブル方法は、全く通用しないのです。だからこそ、各奏者が各々拍子の流れを感じつつ、自分の音に集中して演奏する横ノリのアンサンブル方法を習得することが必要となるのです

横ノリの練習方法

それでは、横ノリのリズム感を身に着けるための練習方法をご紹介します。まずは個人練習レベルについて、昔ながらの振り子式メトロノームを適切に使用すること、そしてより柔軟なリズム感を身に着けることが大切です。

そして、バンド単位でアンサンブルする際にどのように考えて練習に取り組むと良いのか?特にジャズビッグバンドのように、複数の管楽器(ホーン)が参加するジャズアンサンブルの練習法について記載したブログをご紹介します。

横ノリのリズム感を身に着けると、バンド演奏の楽しさが別次元に高まります!特にジャズ演奏では、横ノリと縦ノリでは「天国と地獄」くらい差が出ます。横ノリで合奏することで本来のジャズアンサンブルの楽しさが体験できるのです。皆さん是非、前回のブログと併せて参考にしてください。そして演奏を楽しんでくださいね!