【SWING KIDS】天使たちの奏でるジャズ②

(今回のブログは、前回【SWING KIDS】天使達の奏でるジャズ①の続編となります。是非、先にコチラをご覧いただくように、お勧めします。)

 

今回のSWING KIDSの公演では、2日目に県内スチューデントバンドと、キッズの交流イベントも企画しました。その中で、木元さんにサックスサクソフォン)、トランペットトロンボーンのパート別指導をお願いしました。

余計なことは何も教えない

1日目の公演の打ち上げの席で、木元さんはキッズにどんな指導をしているのか?と訊ねてみたところ、「特別な事は何も教えない」とのことでした。とはいうものの、我々日本人の感覚からすると(木元さんもスイス在住30年以上とはいえ、れっきとした日本人ですが・・)、その言葉はきっと謙遜で、実際は色々とノウハウを持っているのでは、なんて思いますよね?しかし、パート別指導の様子を見ていると、コレが本当に、特別な事は何も教えないのです!

 

フィーリング(感性)を大切にする事歌手が歌うように楽器を演奏するべきである事・・、主にコレだけです!さすがに、木元さんご自身の専門の楽器である、トランペットについては、もう少し具体的なアドバイスをしていましたが、それも、そんなに細かな技術的な話ではありません。どちらかと言えば、鳴らし方のイメージに関するお話でした。

キッズたちが何故、ずっとピュアな音色を保ちながら、演奏を続けていられるのか?その疑問に対する答えは、要するに何も教えないことだと思います。指導者である木元さんは、余分な事を一切教えず、キッズたちのピュアな感性に任せ、成長を見守り続けています。コレがキッズのサウンドの大きな秘密でしょう!

 

更に言えば、特に言葉で何も教えなくても、欧州の一流バンドで活躍していたトランペッター、木元さんの音楽が、常にキッズたちの傍にあります。特に言葉で教えられなくても、最高のお手本と一緒に演奏を続ける環境があれば、子供達はすくすくと伸びていく・・。きっとそういうことなのですね。

音楽コンクールの弊害

SWING KIDS の指導者、木元大さんとの2日間のお付き合いの中で、木元さんがしきりに口にしていたのは、音楽のコンクールの弊害についてです。

 

  • 楽器演奏に順位をつけることが可能なのか?
  • 演奏の出来栄えに、優劣があるのか? 音楽に勝ち負けがあるのか?

という問題提起です。私、鈴木学自身、木元さんのこの考えに100%同意します。 コンクールでの勝ち負けにこだわると、どうしても、良い順位が得られそうな演奏を目指す事に意識が偏ります。何よりよろしくないのは、団体の指導者側が、そのような考えに囚われるあまり、生徒、演奏者に勝負にこだわる演奏を押し付けてしまう事です。

楽器演奏が上達する為の最大のポイントは、無心に『美しさ』を追求する事です。楽器から美しい音色を引き出すこと、そして、その音色を用いた演奏から感動を得ること、この経験の積み重ねが、楽器の上達に繋がります。

 

もしかしたら、指導者の側はこの事実を理解しているのかもしれません。しかし、コンクール自体が目的になってしまうと、優先順位が変わってしまいます。結果的に、より技術的に困難な楽曲を!より大音量で!メトロノームのように正確に!といった、順位が上がるであろう、分りやすい要素ばかりを目指しがちです。

 

このような指導を受け続けた生徒、演奏者はやはり、難しい楽曲を大音量で正確に演奏するという価値観に支配された演奏しかできなくなってしまいます。この価値観は、『美しさ』を追求するという楽器演奏の上達のポイントと、大きくずれてしまうので、生徒は努力の割りに上達しません。場合によっては、ある程度のレベルに達すると、演奏能力が全く向上しなくなってしまう事すらあるのです。

 

音楽に勝ち負けは無い。順位をつけるのはおかしい。本当にその通りだと思います。と言うか、本来楽器演奏で求めるもの、得られるもの、『美しい音により得られる感動』と比べれば、『勝ち負け、順位』という価値観はもの凄く卑小なものに思えませんか?(次回に続く